Yokohama National University, Faculty of Engineering
(Bio Microsystem lab)

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植毛治療のためのin vitro毛包再生と移植
研究目的
 毛髪再生医療は脱毛症の新たな治療法として注目されている。毛包の発生過程では、上皮系細胞と間葉系細胞の相互作用によって毛包原基が形成されるプロセスを発端として形態形成が引き起こされる。先行研究では、この毛包原基を生体外で作製する技術を開発し、これをヌードマウスの背中に移植すると、毛髪が再生することが報告されている[1]。 しかし、この手法の課題は、再生毛髪の密度と向きを制御することであった。そこで、本研究では、高効率に再生方向のそろった毛髪を再生する技術の開発を目的とする。我々の最近の研究では、毛包原基を長期培養することで、高効率に毛包を生体外で再生する技術を開発した[2]。この毛包をピンセットで操作できる2~3 mmの長さまで伸長させ、植毛と同様の手技で皮膚に移植する手法を提案する。
研究内容

 マウス胎児皮膚から採取した上皮系細胞と間葉系細胞を2%マトリゲル添加培地に懸濁し、96ウェルU底プレートに播種した。興味深いことに、培養1日目にこれらの細胞は、内側に凝集した上皮系細胞とそれを覆う間葉系細胞からなるコアシェル構造を形成していた。これらの細胞凝集体を100%マトリゲルに包埋し、培養を続けた。培養4日目に凝集体から複数の毛包が形成され、14日目には毛幹の長さは1 mm以上に達した。免疫染色の結果から、これらの再生毛包は、生体毛包と同様に毛乳頭やバルジなどの基本構造を有することが確認された。この毛包を凝集体から単離し、再度マトリゲルに包埋して培養すると、培養20日目には長さが2.5 mmとなった。これをピンセットで把持し、ヌードマウスの背部に移植すると、皮膚に生着し毛周期を少なくとも5か月間繰り返した。また、再生した毛髪は移植した毛包と同じ方向に再生していた。以上の結果より、生体外で作製した毛包の移植が、高度に方向性を備えた毛髪再生に有望であることが示された。


図1 植毛治療のためのin vitro毛包再生と移植

[参考資料]
1. T. Kageyama et al., Biomaterials, 154, 291-300, 2018,
2. T. Kageyama et al., Science Advances. 8(42), eadd4603, 2022

 

 

 

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