本研究では組み換え体N. europaeaを用いてシグナル物質の効果の評価を行った。この組換え体はHydroxylamine oxidoreductase(HAO)のプロモーターを利用したレポーターアッセイ系である。HAOはアンモニア酸化反応を担う主要な酵素である。つまり発光強度とHAOの発現量に相関性があることを利用してWild typeを用いた実験では見過ごされていた遺伝子発現量変化を追跡することができる。この組換え体に種々のシグナル物質を添加する実験により特定のシグナル物質(Acyl homoserine lactone C12,C14)が組換え体N.europaeaの発光量を増加させることを確認した。この結果はHAOの発現が促進することを示唆している。そして、そのシグナル物質を作用させた状態で培養を続け、アンモニア濃度を追跡することにより、非添加系と比較して硝化活性が高まることを確認した。今までN.europaeaに対して多くの研究が積み重ねられえてきたにもかかわらず、クオラムセンシングがN.europaeaの硝化活性に対して影響を及ぼすという報告はないためこれらの結果は新規性が高いものと考えられる。以上の結果から活性汚泥中においてもシグナル物質はN.europaeaに直接作用し、硝化を活性化させているというメカニズムが示唆された。 |
![](teshima-researchJ1.gif)
Fig. 1 組換え体N. europaea
![](teshima-researchJ2.gif)
Fig. 2 シグナル物質添加による発光量の増大
![](teshima-researchJ3.gif)
Fig. 3 シグナル物質添加による硝化活性化
|