細胞―細胞間相互作用のみを解析する技術として、2種類以上の細胞をそれぞれの接着領域を制御して培養するマイクロパターン細胞共培養法が報告されています。しかし従来の技術では、合成ポリマーにより表面修飾した基板上で共培養を行っていたため、細胞微小環境という意味では細胞外マトリックスからのシグナル伝達が存在しないといった問題がありました。このような問題を解決するために、本研究では細胞外マトリックスの主要成分(ヒアルロン酸、フィブロネクチン、コラーゲン)のみを用いてマイクロパターン共培養を行う技術を開発しました(図1)。これにより、細胞−細胞間相互作用、細胞−細胞外マトリックス間相互作用を同時に制御することが可能となります(図2)。さらに、液性因子の濃度勾配をマイクロスケールで形成可能なマイクロ流体システムを作製し、上記マイクロパターン細胞共培養システムと組み合わせることにより、細胞微小環境を同時に制御可能な培養システムの構築が可能です。現在は、このマイクロパターン共培養を用いてES細胞などの様々な細胞の機能解析を行っています。
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