Yokohama National University, Faculty of Engineering
(Bio Microsystem lab)

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Vascular research

 

光架橋性ハイドロゲルを用いた血管網構造の構築
研究目的
 近年、障害を受けた臓器や組織の治療に細胞そのものを用いる再生医療と呼ばれる新しい医療技術が注目されている。現在、皮膚や角膜といった薄くて簡単な組織については臨床応用が進められており、素晴らしい成果が挙げられている。一方、厚みのある組織については血管構造を付加する技術がないため、未だに三次元組織を構築することが出来ていないのが現状である。そこで本研究では、肝臓組織のような三次元の複雑な組織構築を目指し、光架橋性ハイドロゲルと電気化学細胞脱技術を用いて、内表面が血管内皮細胞に覆われた血管類似構造の構築に取り組んだ。

 我々は、独自の細胞脱離技術を確立している。その原理は、金-チオール結合により吸着させたオリゴペプチドを還元脱離させ、これに伴って細胞も脱離させるものである。オリゴペプチドを介して接着した細胞は細胞間の接着を保ったまま、培養表面から細胞を回収することが出来る。本研究で用いたオリゴペプチドの配列は、CGGGKEKEKEKGRGDSPである。このオリゴペプチドは、チオール基を介して金表面に化学結合した上で、グルタミン酸とリジンの静電的な相互作用により密な自己組織化層を形成するよう設計している。これにより約5分程度の電位印加により、ほぼすべてのペプチドが脱離することが分かっている。 平面基板における検討において、新しく設計したオリゴペプチドが細胞脱離に利用可能であることをまず示した。次に、この方法を金薄膜をコートした直径約600 μmのキャピラリーに応用した。すなわち図1に示すように、オリゴペプチドを介して細胞を付着させたキャピラリーを、チャンバー内で等間隔配置した。そして、Methacrylate基の導入により光架橋性を付与したゼラチンハイドロゲルをチャンバー内へ導入してゲル化させ、キャピラリー表面から電気化学的に細胞を脱離させた後でキャピラリーを引き抜いた。このとき、さらにハイドロゲル中に肝癌細胞を加えることによって、肝組織作製の可能性を評価した。図2は、この手順により作製した血管構造を示す。培養培地を10ml/minで送液培養し、培養5日目の血管内皮細胞と肝癌細胞の蛍光顕微鏡写真である。血管内皮細胞の構造は長期間維持され肝癌細胞は増殖する様子が観察された。

図1 光架橋性ハイドロゲルと電気化学細胞脱離を用いた血管類似構造の構築


図2 ハイドロゲル中の血管内皮細胞(緑)と 肝癌細胞(赤)

[参考資料]
N. Sadr, M. Zhu, T. Osaki, T. Kakegawa, Y. Yang, M. Moretti, J. Fukuda*, A. Khademhosseini*, SAM-based cell transfer to photopatterned hydrogels for microengineering vascular-like structures, Biomaterials (IF=7.88), 32(30), pp.7479-90 (2011)
 

 

 

 

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