一度に大量の薬剤候補を網羅的に検討するため、シーソーのように一定速度で繰り返し傾斜するバイオリアクターと、独自の送液システムを組み込んだ細胞培養デバイスを開発した。本デバイスでは、ハイドロゲル内に独自の電気化学細胞脱離法で血管様構造を作製し、その両端には培地用のリザーバーを配置した。これをシーソー型バイオリアクター上に設置し培養することで、ハイドロゲル内に作製した血管様構造に培地を繰り返し送液することができる。シリンジポンプなどを必要としないため、一度に大量のデバイスに容易に送液できるシステムを確立した。本システムを用いて送液培養を行ったところ、7日間の培養で血管内皮細胞が配向する様子が見られ、長期に渡って良好に細胞を培養することができた。さらに、がん細胞のスフェロイドを血管様構造の周囲に導入したハイドロゲル内に包埋することで、血管新生が誘導される様子が観察された。以上の結果から、本システムはハイスループットに血管新生阻害剤を評価できるシステムであることが示された。
Fig. 1 血管新生モデル |