Yokohama National University, Faculty of Engineering
(Bio Microsystem lab)

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● Tissue engineering


Vascular research

 

送液可能な血管構造を有する三次元組織の構築
研究目的

  脳の組織工学は、脳機能を解明するための実験モデルとしての役割だけでなく、病気のメカニズムや創薬研究など、様々な分野での利用が期待されている。最近の研究では、オルガノイドを作製した後に、工学的アプローチを組合せることにより、さらなる機能や特徴を持ったオルガノイドの作製も行われている。例えば、オルガノイドが神経軸索を伸ばす方向を空間的に制御する手法を開発し、大脳皮質間の軸索組織のモデル組織を開発する研究が報告されている1)。これらの研究手法によって神経細胞への理解が深まったが、さらに生体に類似した軸索束構造の再現が求められている。生体の軸索束は神経と隣接する血管で構成されており、特に発生時の形態形成の際に相互に影響し合う。そこで本研究では、このような神経と血管が協調するneuro vascular unit (NVU)2)に着目し、神経・血管相互作用を利用した軸索束を有する大脳オルガノイドの構築を目的とした(図1A)。。

研究内容

 ヒトiPS細胞から6日間の血管分化を経て血管内皮細胞、周皮細胞を誘導した。免疫染色により血管内皮細胞のマーカーであるCD31+細胞が確認できた(図1B)。細胞非接着プレートを用いてヒトiPS細胞からなる三次元の球状組織を作製し、25日間の神経分化を経て、大脳オルガノイドを誘導した。大脳のマーカーであるFOXG1+細胞がオルガノイド上皮全体に見られ、その周囲に神経細胞のマーカーであるTuj1+細胞の存在が確認できた。(図2C)。次にマイクロデバイスの微小流路の両端に2つのオルガノイドを配置したところ、3週間かけて、それぞれから自発的に直径60 μm程度の軸索束が形成することを確認した(図2D)。さらに血管形成に必須な血管内皮細胞、周皮細胞を含むハイドロゲルをオルガノイド周囲に送液培養することでオルガノイド、軸索束組織の接続領域で血管新芽が生じる様子を確認した。以上の結果より、この大脳オルガノイドは、神経発生過程の神経・血管相互作用の理解に有用なツールとなり得る可能性が示された。


[参考資料]
1) Kirihara, T. et al., iScience, 14, 301-311, 2019
2) Sawada,M. et al., Front Neurosci, 8, 53, 2014.
 

 

 

 

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