マウス胎児皮膚から採取した上皮系および間葉系細胞をそれぞれコラーゲンゲルに懸濁し、シースフロー型のマイクロ流体デバイスによるヤヌス型の液滴形成により、毛包原基様構造を作製した。これを培養液に懸濁し、3日間浮遊培養すると大きく収縮し、培養3日目には10分の1のサイズになったことから、細胞およびコラーゲンが高密度化された組織を形成した。これをヌードマウス皮下に移植し、3週間後の発毛本数を評価すると、本手法で作製した毛包原基は、細胞のみを用いる従来法(T. Kageyama et al. Biomaterials, 2018)と比較して発毛本数が2倍以上増加した。さらに、マイクロ流体デバイスを用いることで作製効率が325個/分に向上、つまり治療に必要な5000個の毛包原基を15分で大量調製可能になった。以上、本手法は、毛髪再生医療のための移植組織の調製法として、有用であることが示された。
図1 マイクロ流体デバイスを用いた毛包原基の大量調製
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